高知の旅 その2

喫茶店を出たわたしは、友人との合流地点に向かうべく、まず駅に向かった。
しかし駅に着き電光掲示板を見てみると、どうやらちょうど電車が行ってしまったらしく、おまけにあと25分ぐらい来ないらしい。OH…。
歩いたほうがむしろ早いかもしれない。
そう思って、せっかくだし歩くことにした。歩くのは好きなので!
 
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てこてこ歩くうち、車の下に猫など見つける。高知の猫にたぶんほかと違いなどないが、なんとなく撮っておく。
うっすらGoogleマップの所要時間ってどんだけ早足のやつに合わせてんだよ…とおもいはじめた頃、合流地点にたどり着いた。
公衆トイレの近くで最初待っていたのだが、よりによってこの場所じゃなくても…とちょっと移動したら、スーパーが目に入った。
あそこで友人は買い物をしたりしているのかもしれない。
そう思ったら、ちょっと嬉しくなった。
と、そこらへんでチャリに乗って友人がやってきた。髪が伸びていた。
高知で生活している感じがした。
 
合流した我々は19時に予約した定食屋さんでのご飯まで、友人の家でまったりすることにした。
友人宅に向かうまでに、花屋とケーキ屋に寄った。どちらも個人経営のお店。それぞれが独特な工夫をして、ここだけのお店…というのをつくりあげている感じがした。お店同士はフライヤーを置きあうことによって、お客さんを巡回させてるみたい。面白い。高知はそういうお店が多い印象。
そして、おそろしいことに、友人はそこでも個人認識をされていた…!!
これに驚くひとは、もしかしたらあんまりいないのかもしれない。
わたしはねっから東京の、しかもニュータウン、団地育ちなのであった。
買い物はだいたいイトーヨーカドーだよ!チェーン店ばかりだよ!
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これは花屋の外観。
 
そんなこんなで友人の家に着いた。落ち着く時間が流れる部屋だった。そして広い!
友人はわたしのためにデカフェのコーヒーも買っておいてくれた。ありがたし。
ストーブの上で沸かしたお湯で、コーヒーフィルタにぽぽぽと注いで、抽出されるまでゆっくり待って飲むコーヒーは美味しかった。
わたしも買おうかな。毎日コーヒー飲むのに、家にあるのはインスタントっていう、味のまったくわからなさ、こだわらなさよ。
でも、こうやって手間をかけるのは(さらなる上は豆を挽くところからだろうが…)、その時間を味わうということでもあるし、大事にすることでもあるんだなとおもう…そうしたからこそ、うまいとかあるんだろうな。ちょっとの差(大きな差と感じる人もいるだろうが)なのだが、豊かな差だなとおもった。
 
友人に喫茶店であったことを色々話していると、
「おばあちゃんに会った?」
と言われた。えっ?とおもいながらも、そういやちょっとボケた風のおばあちゃんが途中で入ってきたな…と思いだし、そう答えたら、どうやら常連さんの間でそのお店の「守り神」として大事にされてるおばあちゃんらしかった…!!
日に2回ほど現れ、全メニュー網羅してるとか。
どうやらわたしは会えて大変ラッキーだったようだ。嬉しくなった。
 
友人の部屋には、植物がたくさんあって、大事にされていた。一緒に暮らす家族みたいだった。
枇杷の種を植えたら、それが育ってわりと丈夫な幹っぽいものになり始めてるのもあった。すごい。いつか実がなったりもするんだろうか。
昔、近所の公園に枇杷の木があって、実をみんなで狂ったように食べてたら、実は近所のおうちのひとの木ですごい怒られたことを思い出した…つまり、枇杷は、うまい。
 
いろいろ話してるうちに、そろそろ予約の時刻が迫っていたので、家を出た。
友人がたびたびinstagramで川の写真をアップしていたので、わたしの今回の旅の隠れ目標は川を眺めることだった。
定食屋さんに行くには川にまたがる橋を通るということだったので、期待が高まった。もう夜だったけど。
 
そして、おまちかねの川…というか、その前に土手が現れた。
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理想の土手だった。
この土手が、生まれ育った家の近く、もしくは通った学校の近くにあるかどうかで人生は異なる、と思った。
唐突に気づく。
わたしが求めていたのは、川じゃなくて土手だったんだと。川はわりとどこにでもあるけど(うちの近所にもすごい濁ったのがそういえばあった)、こんないい土手はなかなかないって!
しかも、鉄塔もあるんだよ!
友人いわく、夜もジョギングしているひととかで結構人通りがあるから、あんまり危ない感じがしなくてよいとのことだった。
やはり理想の土手である。
高校時代に戻ってこの土手で体育座りして物思いにふけりたい。無駄に。
 
昼に喫茶店に行ったときも、一般家屋が続く中、永遠にたどり着けないんじゃないかとおもったけど、わりと定食屋さんにもたどり着けないんじゃとおもった頃、突如としてお店が出現した。
その名も「雨風食堂」。
 
雨風食堂は夫婦で経営してて、ほかにひとを雇っていない、こじんまりした定食屋さん。夜は予約のひとだけが入れる。
友人は昼間にいったらしいが、たいそう美味しかったとのこと。
 
店内は昼間の喫茶店と同じく素朴であたたかい感じ。本棚には、日曜市(通りを野菜やら寿司やら工具やらいろんなものが売っている市場)の絵本などもあった。
 
そして、食事が運ばれてきた!!
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ここには写っていないお刺身盛り合わせから、れんこんと何らかのはさみ揚げとふきのとうの天ぷら、茶碗蒸し、油揚げとなにかの煮物に、ホタルイカになにかをかけたやつ、かつお?の巻き寿司、菜っ葉ごはん…。(絶望的なことに記憶が曖昧で…そもそも間違ってたらすみません…)
魚はもちろんのこと、野菜が美味しい。野菜が美味しい!!(大事なことなので二度言わせていただきました)
しばし言葉もなく、食べることに夢中になった。
食べ終わった後に、もう一度時間を戻して最初から食べたいね、という話をした記憶はある。

さんざん言ってきたことではあるが、この店で極めつけにとばかりに、今度は店の主人が「⚪︎⚪︎さんですよね?」と友人の名を呼んできた。友人も店主の奥さんに贈り物を渡していた。(出産祝いだったかな?)
その時、わたしがおもったことは、「なんだよ…もういつでも『うちくる』出れるじゃん!!」であった。
いや、それだけでなく、友人は高知に移り住んで数年で、ゆっくりと「つながり」をつくってきたんだなあ、とおもった。
 
そんなこんなでその日は、しばらく歩いた通りからタクシーを捕まえて、友人と別れ、ホテルまで帰った。
まだ9時ごろだった気がするけど、結構歩いてわりと疲れていたのか、速攻寝た。
 
1日目おしまい。

その3につづく