最強の父ちゃんと静かに展開していくサムシング

 新卒で入って最初の席で隣に座ってたバイトのSさんは、フリーでやってる音楽の仕事と兼業していた。

気さくなひとだった。Sさんが独特な雰囲気があるせいか、皆とは働き方が違うせいか、いろいろ同僚とはまた違う話をして、楽しかった。

席が離れたあともゆるゆるゆるーくつながっていて、でもある日気づいたら辞めていて(気づいたら会社にはアルバイトの人自体がいなかった気がする)、縁がぶつっと切れた気がして、あーなんで連絡先を聞かなかったんだろうと後悔した。

 

しばらく時が過ぎて、わたしが会社を辞める日に、ある同僚のひとと話していたら、Sさんの連絡先を知っていることがわかった。連絡とりたいと言ったら、その人がわたしの連絡先をSさんに教えてくれて、すごいまたゆるゆるゆるーとつながった。

今、Sさんは愛知県にいる。

そして、最近一児の父になっていたことを知った。

 

まだ会社にいた頃、お昼に、将来の夢の話をしたんだがなんだか忘れたんだが、

「俺、最強のとーちゃんになりたいんだよね〜。なんか最強」

と言ってたことを思い出した。

なんかじーんとしてしまった。いっぱい遊んでるんだって。風呂入ってごはん食べて。

あの頃言ってたことが、今どこかで実現してるんだな。

 

最近世界は同時進行なんだという思いが強い。

わたしが寝てる間に、皆相変わらずということもなく、なにかが起こったり変わったりしている。

しかも、それだって、日々の瞬間が重なって、自分でも気づかないところで静かに展開して、ある日突然ひょっこり顔を出すのだとおもうと、あなどれぬ…。

最近いい意味でも、オーノー的な意味でもすごい思い知るんだ。

でも、またそれはそこでおしまいじゃなくて、途中に過ぎなくて、展開はまた静かに進んでいく。

なので、どうなるかわからんにしろ、希望をもって日々を過ごすのである。

希望とは「生きていたらいつか、大丈夫になる日がくるかもしれない」と、似ている。